First Creation: 2006/01/09
Last Update: 2006/07/20
1/7 にゴン太くんに改造してもらったゴーグルの性能を試すべく、スキー場でいざ電池をセットしてみるとファンが回らない。
いきなり故障か、はたまた単なる電池切れか!?
いったいどういうことなんだい、ゴン太くん!?
自宅に帰ってゴーグルを調べてみた。単5形電池の在庫がないため、9V 6P形の電池で試してみた。
えらい勢いでファンが回る。故障ではない。
このことから、電池切れであることが判明・・・
しかし「単なる」ではない。突き詰めていくと、そこには電池の弱点ともいうべき問題点ががあった・・・
電池とは、電気を発生させる装置の名前である。そのため、われわれがすぐに思いつく乾電池を始めとして、エコロジーな太陽電池、ゴジラの生みの親である原子発電も電池の一種として分類が可能だ。
電池の分類方法は、大きく分けると二種類。化学電池と物理電池である。それぞれは更に細かくカテゴライズされるが、とりあえず順を追って記述する。
電解液の中に二種類の金属を入れ、化学反応により電気を取り出す装置。
物理作用により電気を作る装置。太陽電池や原子力電池。
イラク首都バグダッド郊外のホイヤットラブヤ遺跡から発掘された 2000年以上も前の電池(電圧は 2V弱程度、装飾のメッキ用に使ったと考えられる)。
つぼの内側に銅の筒がはめ込まれ、電解液(おそらく酢やブドウ酒)を満たし、真ん中に鉄棒が入っていた。
電気を起こすには、二種類の金属と電解液があればよい。
ボルタが銅、すず、食塩水を使って電池を作った。
ボルタは、「ガルヴァーニの蛙の足の実験」をヒントにこの発明をしたことから、ガル ヴァーニ電池として発表するも、今ではボルタ電池で通っている。哀れガルヴァーニ。いい大人が蛙で遊んでちゃダメよ。しかもやってることが結構ひどい・・・興味がある人は調べてみよう。
というわけで、ボルタの発明以降、改良が続けられていく。1868年に、マンガン電池の原型が考案された。
電池の歴史を詳しく知りたい方は、Panasonic の「ゆかいな電池の森」を参照 。
電池という文字についての憶測
電池という文字を分解すると、稲妻を表す電という文字と、池という文字が使われている。何故「池」という文字が使われているのか、不思議である。
当時(おそらく 19世紀初頭)、Galvanic cell (ガルヴァーニック・セル。つまりボルタ電池のこと)の論文を翻訳した日本人たちが、このような会話を交わしていたのではないかと推測した。
「ようし、次はこの論文の翻訳か。パパがんばっちゃうぞ。Galvanic ってのは人名を形容詞化したものだろ。ふーむ、で、この cell っていう字をどう訳すよ?」
「その何とかセルって何だい。人造人間の一種かい?」
「バカめ。これを見ると・・・銅とすずと食塩でエレキテルができるんだとさ。そういう装置のことらしい」
「ハッハー、君は愉快な奴だな。明らかにその翻訳は間違っているよ。海水に銅とすずをつければエレキテルができるなんて、本気で信じているのかい? おめでてーな」
「なめたこと言ってるとぶん殴るぞ。オレは大統領でもぶん殴る男だ」
「せめて将軍にして欲しかったよ、コング」
「オレはコングじゃない。とりあえず作ってみよう」
ビリビリ
「オーマイゴッド、しびれたぞ! まさか海水から電気が作れるなんて! 神さまだって驚いて月までぶっ飛んで行ったさ!」
「だから言っただろ。待てよ、水? 水から電気が生まれる・・・電気を蓄えておくための水か・・・」
ただ蓄えておくだけなら、保存、保管、倉庫、貯蓄といった字をあててもいいわけだ。電庫(でんこ)とか電貯(でんちょ)とか。そうしなかったのは、やはりこのような会話があったから・・・なのかもしれない。
ちなみに平賀源内のエレキテル製作(オリジナルはオランダの発明品)は 1776年。その装置は 1751年ころに、オランダ人から幕府に献上されていたらしい。当然、海外を研究していた者には、その程度の知識はあった。
現在市販されている様々な乾電池。その特性を語る前に、主な電池の種類をピックアップしよう。なお、ボタン形電池タイプである、酸化銀電池と空気亜鉛電池は省略。
昔ながらの電池。電池の外側にマイナス極の亜鉛、その内側にプラス極の成分である二酸化マンガンと電解液が満たされている。
容量が少なく(といっても当時はこれが普通だが)、高い電圧には向かない。
マンガン電池を改良したことにより、長時間に渡って多くの電力が使える(パワフルで長持ち)。その構成はマンガンとは反対に、内側に亜鉛と電解液が入っていて、外側を二酸化マンガンが取り巻いている。
マンガン電池と比較して、二酸化マンガンと亜鉛をたくさん入れることができる。多くの触媒により、化学反応が持続、長持ちするという仕組み。
1976年に日本で商品化。
マイナス極にリチウム金属、もしくはリチウムアルミ合金を使用した電池。
高電圧 ( 3V ) で、-40℃ 〜 85℃の高い使用温度範囲。少ない自己放電。
1.5V タイプの電池(単3 等と同じ電圧の電池)では、アルカリ電池より電気容量が大きい。
最近発売された新しいタイプの電池で、プラス極にオキシ水酸化ニッケル、マイナス極に亜鉛と水酸化カリウム水溶液を使っている。
2002年に東芝から発売された GigaEnerty、2004年に発売された Panasonic のオキシライド乾電池がそのタイプ。なお、オキシライドとは、オキシ水酸化ニッケル ( Oxy Nickel Hydroxide ) の造語。電解液を増やすことにより化学反応を持続させている。つまり長持ち。Panasonic のサイトで詳しく解説されている。
1963年に日本で商品化。
電圧は 1.2V。1次電池におけるマンガン電池のような分類。今となっては旧式。あえてニカド電池を使うメリットはない。
電池を使い切らないうちに再充電をすると、だんだん電池の持ちが悪くなる。これをメモリー効果と呼ぶ。電池を使い切ってから再充電することで、回復できる。
1次電池におけるアルカリ電池のような分類。2006年時点で、2次電池の主流となっている。
電圧はニカド電池と同じ 1.2V。アルカリ電池と比較しても性能的に上回っているため、エコロジーの点からニッケル水素電池を買って、何度も利用することをお勧めする。
メモリー効果に注意。
電圧は 3V と高めであり、デジカメや PCのバッテリー等に用いられる。高い動作電圧と高い使用温度範囲 ( -20℃くらい ) が特徴。自己放電(自然に電気がなくなること)が少なく、原理的にはメモリー効果がない。が、それに似た現象は発生するので、たまに使い切って充電しておくと良い。
※ 大電流特性は、1000mA 程度の電流を必要とするレンジ。 1V 以上の電圧を維持できた時間に、どれだけの容量を放電できたか、という比較。この状態は電圧が 1V を維持できないというだけで、まだ電池残量はある。 主な用途はデジカメ等。
※ 中電流特性は、200mA 程度の電流を必要とするレンジ。 主な用途は MP3 プレイヤー等。
※1 最近(2005年くらいに)発売されたニッケル系電池のオキシライド電池は、アルカリの 5倍長持ちと宣伝されていたが、こんなもの。アルカリ電池の性能が良くなったからか?
単5形電池は、そのサイズから電解液の量が少なく、長時間の動作には向かない。しかもアルカリ電池だったために寒さに弱く、えぼし高原スキー場の氷点下を下回る寒さに、放電容量が下がってしまった。
従って、次回のスノボで注意すべき点として
驚くべきは、電池切れの体裁を取り繕うためだけにこのページを作る性格か。