First Creation: 2004/09/09
Last Update: 2006/01/07
会社の昼休みを抜け出して、一発試験を受けに来た。実は二回目である。
12:20 に昼休みを取った。バイクを走らせ、運転免許センターに到着したのは 12:40 のことだった。受付開始まで 20分ある。12:00 〜 13:00 か。職員が時間通りに昼休みを取っているところが妙に腹立たしい。昼休みをつぶしたあげくにこそこそ受験しにきている私とはエライ違いだ。有給を取らせてくれないんだからしょうがないのである。というか普段から満足に昼休みが取れないのはどういう訳だ?
受付開始の 5分前に並んだ。二番手である。前にいたおっさんはパンチパーマの土建屋風。後ろに受験者が鈴なりだ。13時になって受付開始である。一番手ののおっさんは二種の技能試験を受けるようだ。やるな。タクシーの運ちゃん志望か。おっさんはお金を払った後に「領収書ください」とのたまった。何い!? 発行に時間がかかった。隣の受付では、次々に人が受付を済ませているというのに、私のところはまだ一人目。
パンチパーマに渾身のエルボーを叩き込んでやりたくなった。右脇からフック気味のエルボー。体重と速度を乗せた肘が、鳥の巣にめり込んだ。倒れ伏すパンチパーマ。私の列から喝采が起こる。そして何事もなかったかのように受付再開・・・なーんてね・・・(Xペケというマンガにそんなやつがいたな・・・)
盛り上がっていると、ようやく私の番がきた。「仮免の技能」と告げて 4200円を支払う。おばちゃんは「がんばって」という言葉とともに、用紙をくれた。面倒な記入を済ませ、「技能試験の方はこちら」と書かれた窓口に行くと、パンチパーマが一番手、その後ろに3人ほど並んでいた。バ、バカな! おまえは死んだはず!? そうか、オレに復讐するために地獄から舞い戻って来たのか。相手にとって不足は、ある。・・・?
「相手にとって不足はない」
それは相手の力量を認めている言葉だ。「相手にとって不足はある」は逆の意味になるだろうから、相手の力量を認めていないということになる。だがしかし、次のような意味にもとれる。
「相手にとって私という敵は虫けらほどの脅威にしかならない。不足だが相手をしてやる」
・・・何かムカつく。どちらが正しいのだろう。技能試験の待合室で歴史上の難問を解き明かすために google のパワーを借りるのも馬鹿みたいだし、というかこんな思考をしていること自体がすでにアレだが、ここはひとつ「相手には不足がある」という台詞にしておいてやろう。
「相手には不足があるが、かかってこい」
・・・語呂が悪い。もうちょっとカッコよく変更しよう。
「オマエ程度では不足だが、相手をしてやる。かかって来い」
これならいい。もはや原型を止めていないが、言われた奴は頭から湯気を立てて殴り掛かってくるはずだ。そこをすかさずカウンターで「オマエにふさわしい場所に送り届けてやる」と決め台詞を・・・
ふと気がつくと誰もいない? 独りにするなよ。寂しいじゃないか。
静かな死闘を終えた私は書類を提出し、2Fの待合室に入ってマークシートを記入した。やがて 13:30 になると「○○番までの受験生は発着場まで集合せよ」とのアナウンスが流れた。出番まで数人分待たなくてはならなかった。
いよいよ仮免の技能試験間近。私は後部座席に乗り込み、見知らぬおっさんの運転に同乗する。スムーズな滑り出しだ。左折、S字、クランクを難無くこなす。巧い。いや、巧すぎる。試験官の手がほとんど動かない。つまりノーミス(たぶん)だ。既にオートマ限定のレベルを越えている。二種でもいけるぞ? 私にこれだけのプレッシャーを与えるとは、貴様何者だ? いや、ここは詮索よりスキルを盗む方が先決だ。S字とクランクでの内輪差を計算し尽くした運転、見通しの悪い交差点での徐行、踏み切りでの窓の開閉、下り坂での 2nd、か、完璧すぎる・・・発着場で車を降りた後も長いこと試験官と話していたので、たぶん受かったな。私は敵への称賛を惜しまない男だ。うむ、見事だ。と言っておこう。ちくしょう。
やや自信をなくした私は、それでもなけなしの気力を振り絞って・・・試験開始。左右を確認し、素早く車に乗り込む。シートベルト、座席の位置、ドアをロック、ミラー確認。ブレーキを踏みつつ D へ、その後サイドブレーキを解除。ああ、準備もなしに来たから順番忘れてるし。まず、軽く一周を試乗して、発着場に止まる。心の準備ができたら、いよいよ試験開始。
いや、まだ心の準備ができてないんですが・・・
ウィンカーを出して発車。合流地点でも忘れずにウィンカー。50Km/h になるまで加速。ここは加速が命。
適当に曲がって、S字に突入。あ、曲がり切れそうにない。バックして再度侵入。ああ、メモすんなよ。減点か・・・前回と同じミスをしてしまった。明らかにダウンした気分のまま走りつつ、今度はクランク。入り口はクリア。問題はここからだが・・・あ、内輪差で左後ろのタイヤが落ちたまま進んでしまった・・・大減点だ! 「ぶつかったらどうするんでしたっけ?」いや、分かってるって。「止まってバック」だろ?
交差点までのちょっとした長い道で、「もっと速度出しましょう」と言われてしまう。これも前回指摘されていたところだ。以降、飛ばし気味に走った。これくらいがちょうどいいらしい。
見通しの悪い交差点はそろりそろり。前回、ついバイクのときのクセが出てしまい、一時停止線をオーバーして減点された。今回はチキンと呼ばれようとも 1m 手前で止まる意気込みで臨んだ。踏み切りでの窓を開けたのは、さっきのおっさんの真似。しかし閉めるタイミングを逃してしまう。仕方なくそのまま坂道へ。上り坂での一時停止、下り坂での 2nd はいいとして、しばらく走っていると試験官がちらっと下を見た。おいおい、 2nd のまま走っているぞ。バカめ。前回よりもヘタになっているじゃないか。もうあきらめた。そしてゴール。
以上と前回の反省を踏まえて、問題点を洗い出してみた。
全ての憂さをを温泉で洗い流した。と思ったら深夜 2時を過ぎた。日付が変わってしまったので、本日の仕事(朝〜夕)は寝不足で疲れてしまうだろうな。どうも幸福量保存則が働いているようだ。