First Creation: 2004/09/04
Last Update: 2006/01/07
「結婚は判断力の欠如」と言うが、幸せな家庭を築いてもらいたいものだ。「忍耐力の欠如」だけは起こさないで欲しい。
私は付かず離れずが理想だと思うが。なんて考えてないで自分の心配をしろ。
結婚生活が良さそうだったら、オレも真剣に考えてみようかと思わなくもない。
なお、今回はいろいろと突込みどころの多いイベントだった。
朝起きて、午前中に三脚を買いに行った。7000円近くの出費である。
タキシードなど持っていないので、黒いスーツで出席することにした。とすると、中に着ていくのは「ワイシャツ+黒以外のネクタイ」か「立衿シャツ+アスコットタイ、もしくは蝶ネクタイ」といったところか。得意の検索でドレスコードを検索、意外なことに、「ワイシャツ+白いネクタイ」というのは、海外ではもの凄く印象が悪いらしい。日本では一般的なのにな。印象が悪いものを無理にすることはない。ここは無難に蝶ネクタイで出席することにした。
その他、結婚式に出席する上での立ち振る舞いを頭に叩き込む。いろいろと面倒な決まりがあるようだ。
御祝儀袋は袱紗(ふくさ)に包んでおく。スーツから御祝儀袋を出して渡すのは非礼に当たる。御祝儀は前もって渡しておくのが正式らしい。といっても後の祭りである。
結婚式と葬式の両方に使える紫の袱紗を買うことにした。簡易的なもので十分だろう。1000円程度だった。御祝儀袋は、金額の 100分の1程度が相場らしい。あまり豪華、けばけばしいのは好みではないので、質素なものを選んだ。
受付の際には「本日はおめでとうございます。晴れやかな席にお招きいただきありがとうございます。お祝いの気持ちです」といって相手に渡してから記帳するらしい。
夜の式だからタキシードが無難らしいが、黒のスーツで代用。白の立衿シャツ(8000円)には袖にボタンがついていないのでカフス(5000円)で留めなければならない。黒だとボーイに間違えられそうなのでグレーの蝶ネクタイ(2000円)と胸に入れる白いスカーフ(1000円)を購入。
なかなか痛い。
ゆとりを持って行動したつもりが、すべてそろえ終わったのが 16時を少し過ぎていた。
慌てて立衿シャツを着て、ズボンをはいて・・・おや!? 上着がない? 会社のロッカーが頭に浮かんだ。そうだ、最近、面倒だからと言って会社にスーツを置くようにしていたのだ! 顔から血の気が引いたのがはっきり分かった。ドレッサーを掻き分けて、黒いジャケットを発見したが、色が微妙に違う!
慌てて友人に連絡する。連絡が取れない。
「今日着ていくつもりの黒いスーツ会社に忘れた! どうしよう!?」
不吉なメッセージを携帯の留守電に吹き込みつつ、頭には冷静な部分も残っていて、連絡が取れたからといってどうしようもないよな、と考える。
こうなったら上司に相談してみよう・・・ N村氏のところに電話、つながるか・・・い、いた!
「──というわけなんですよ!」
「どうしろと?」
「黒っぽいスーツはあるんですが、うっすら縦縞が入っているんですが、着て行っていいものなんですか?」
「相手はどんな立場なの?」
「友人です」
「それなら問題ないよ。上司とかなら非礼にあたるけど。あと、ちゃんと革靴でね」
「それも会社に・・・あ、革のブーツがあった」
「それは・・・裏がゴムになってる?」
「ゴムじゃなかったです。穿けば革靴に見えるから大丈夫ですよ。どうもでした」
こうして勇気づけられた私は仕度をすませ、このまま行くのは恥ずかしいのでジャケットを羽織ってバイクに乗った。時間は 16:20。開始時刻は 16:30。もう何も言うまい。
飛ばす、飛ばす。もはや速度制限という言葉は、私の辞書から削除済みだ。だいたいの場所は、友人から聞いていた。もはや道を間違えましたという腐った事態は遠慮したい。アドレナリンは未だかつてないほど分泌されていて、交差点をドリフト気味に流しても、いつもなら「滑った、怖っ!」が、「ひゃっほう」くらいにしか思わない。
交差点を右折してすぐに見えてくるはずの会場がなかなか発見できない。と、それらしい建物を発見。バイクを止めて招待状で場所を確認・・・やっちまったぁ! 招待状を忘れた! こ、こうなったら携帯で連絡・・・うおおおおおお、携帯忘れやがった!!!!!
ここじゃなかったらお終いだ・・・一瞬逃げようかという考えが頭をよぎる。しかし、カメラマンを引き受けてしまっては逃げられまい。意外と重要なことを簡単に引き受けてしまったことを後悔・・・
教会っぽい建物だ。ここに違いないと自分に暗示をかける。
広い敷地の駐車場にバイクを置きに行く時間はない。ここは近くの店にバイクを置かせてもらうことにした。すまん。
おそるおそる入り口をうろついているボーイに声をかけた。
「ここは N塚さんの結婚式場ですか・・・?」
「はい、左様でございます」
天使! 貴方は天使ですか! ひゃっほう>オレ 神様、悪魔様ありがとう。もはや正常な判断力は失われている。へたり込みそうになる自分に鞭打って敷地を移動、教会に侵入した。
16:30。よく間に合ったものだ。結婚式を終えて披露宴に突入。
同席の人たちとは会話もせず、カメラマンに徹する私。それどころではないんだよ。
注がれるワインとビール。出席者たちの祝杯。プロージット。
運ばれてくる料理。フランス料理だから運ばれてくるのが遅い。しかし料理は手付かずのまま、2品目が運ばれてくる・・・私だけ二皿おかれてるじゃないか。早く食べよう。うろ覚えの知識で、外側に置かれたナイフとフォークから使っていく。あ、動きがあった。カメラ・・・あ、下げられた・・・あ、そうか、食事中はナイフとフォークをハの字にしておかなければならないんだった・・・か? 終わったらニの字に並べておくんだ。学習したぞ。
二皿目・・・あ、カメラカメラ。ニの時。今度は下げられなかった。よし。口直しのデザートを、スプーンで食べる。計算上、並べられたフォークとナイフの使い順はあっている。やるじゃないか>私。というか、落ち着かないな・・・
ビデオカメラメインで撮影していたため、デジカメでの撮影はほんの数枚しかない。しかも右手にハンディカメラ、左手でデジカメを撮影していたので、廻りからみたら変なやつだったろう。冷たい視線にも負けず、私はやったよ・・・
二次会に参加する気力はなく、21時にお開き、眠りについた。なお、二次会は 4時まで行われたらしい。参加しなくて良かった・・・
というわけで、比較的なるようになってしまった友人の結婚式だった。
お幸せに。