First Creation: 2004/07/24
Last Update: 2006/01/07
事の発端は帰省した際に立ち寄った金物屋だった。物騒な世の中である。護身用武器の一つも持った方がいいのではないか。
自分の方こそ物騒な考えに取り憑かれてサイト巡りをした記録である。そのため、文章はいつになく危険度を増したものになっている。
まずは護身用具の定番、警棒である。一般的な三段伸縮式、伸び縮みしない一体型のもの、トンファー型、スタンガンを兼ねた警棒などがある。頑丈で殺傷能力は低く、警察や FBI も使用しているメジャーな道具だ。
また凶器として使うこともできる。頭や急所に殺意を叩き込めば相手は天国のおじいさんと、貴方は別荘で 10年ほど暮らせる特典がつく優れもの。
私が欲しかったのは三段伸縮式の警棒だ。調べると、伸張時の長さに幅があることが分かった。短いものは軽くて携帯に便利、長いものは重くて破壊力がある。最小で 15cm 〜 30cm、延ばした時は 40cm 〜 80cm といったところだ。もちろん、警棒といってもメーカーや種類がいろいろあるから、多少の誤差はあるかもしれない。そういえば昔 5段式なんてのも見たことがある。記憶違いかもしれないが。
あくまで携帯性を重視して、短く、軽いものを探すことにした。持ち歩ける限界が、縮小時 20cm ほどだろうか。それ以上だと携帯するのはツライ。軽さに重点をおいて調べていくと以下の商品を発見。
エアーウェイトシリーズは、航空機用のアルミ合金を使用しているため、通常の警棒の半分ほどの重さではあるが、値段が 4倍ほども違う。1万円(F16) 〜 2万円(F31)もするのである。
高い。高すぎる。普通の警棒なら 3千円程度で買えるものを・・・
スタンガンはどうだろう? 手のひらサイズで携帯に便利、何百万V という高電圧だが、アンペア数が低いので致死性はない。
調べてみた。その結果、私が今まで持っていた知識には誤りがあったことが判明した。
スタンガンは、痛みで相手をひるませる道具であり、相手が興奮状態で襲い掛かってこようものなら効果はない。逆にスタンガンを奪われてもっとひどい目に合わされそうだ。
ひるませるだけの気休めの道具か・・・なんでこんなものが売れるんだろう? 食指が動かない。と思ったら、マイオトロンなるものを発見。
FBI によって開発された護身用具で、随意筋に働きかけることで相手を行動不能にさせるノン・リーサル(非致死性)・ウェポン。
メーカーの販売促進用ビデオによれば、こうだ。
なかなか効果的な武器である。スタンガンなどよりよほどいい。動作原理は、こうだ。
これだ。と、気になる値段は 3万円ほど。うーん、買ってもいいかな・・・
想像してみる。もしも自分が大切に思う女性と一緒にいるとき、ボクサーやプロレスラーのような暴漢にからまれたとしたら。
私の癖は、常に最悪のケースを想定することにある。
しかし本当に最悪のケースとは、格闘技を習熟した複数の暴漢、もしくは数人のヤクザに襲われることだろう。ヤンキーぐらいなら何とかなるかもしれない。所詮は素人。しかし格闘家を相手に戦うのは、素人には不可能だ。
これは私が強いということを言っているのではなく、単に覚悟の問題だ。戦闘のプロ、脅迫のプロである彼らに気合で立ち向かってもどうにもならない。
しかしヤンキー程度であれば。所詮弱者が群れているだけの集団だ。相手を殺す気でやれば、何人かは確実に仕留めることができるだろう。相手を一人破壊したら、こちらの勝ちである。彼らの中に、警察の介入が明白になった時点でも殺意をいだき続けられるような腹の据わった人間はいない。いたらいたで別にかまわない。私自身の死は、相手の破滅を約束してくれる。
素人がプロに勝つためには、接近戦は自殺行為だ。しかし私が拳銃など持っているはずもない。接近戦をするなら、砂を使った目潰し、一瞬の隙をついた金的攻撃、歯で喉笛を食いちぎる、もしくは筋繊維でもいい。とにかくかなりエゲツない戦い方をしなければならないだろう。そういう戦い方をしたとしても、勝てる可能性はひどく少ない。だからこその武器だ。
マイオトロンなら、相手に一回だけ触れればいいのだから勝ち目はある。暗器のような使い方をすれば倒す確率は増す。それでもプロに打ち勝つためには捨て身の覚悟が必要であろう。骨折はもちろん、内臓出血で死ぬこともあり得る。
もっとも私は、暴漢ごときに屈して大切な女性を守れないようならば死を選ぶ。これは誇りの問題だ。普段は温厚(書いてて笑止だが)な私だが、実は何よりも誇りを大切にしている。だから私の誇りを傷つけようとする人間に対しては怒りを抱く。それで何度か失敗したこともあるが、後悔はまったくしていない。そして私の誇りを土足で踏みにじるような行為に対しては、相応の後悔を味わってもらうことになる。
だが、死すら厭わない覚悟を持っていたとしても、結果が伴わなければ意味がない。そう考えると、この護身用具は秀逸である。相手を殺すことはないし、効果については FBI が採用していることから、不確かな効果しかもたらさないスタンガンとは一味違う。
迷う・・・かなり欲しくなってきた・・・
非常時限定ながら私は、「自分が死ぬ」覚悟を持っているし、「相手を殺す」覚悟も持っている。だからナイフという選択肢もありだ。
参考までに一撃必殺のナイフを調べてみた。しかし所持していたら、いざというとき、心臓にでも突き立てるんだろうなぁ・・・なるべくなら殺人はいやだなぁ。
ところで、ナイフを選ぶ前に、鋼材についていろいろ調べ回った。しかしこの件に関しては後日の「刃物の研ぎ方」で触れることにして、今回はあくまでナイフのみに話題を絞って先に進むとしよう。
そういえば昔バタフライを持っていた。片手でかちゃかちゃ回せるとカッコいいが、興奮した相手には挑発されているとしか思えまい。むしろ得意げにテクを披露している最中に襲われるのが関の山だ。修羅場でそんな悠長なデモンストレーションをしている暇はない。私が求めるのは質実剛健である。
今の流行はカランビットか。
折りたたみ式ナイフの一種で、ブレードが鎌のように湾曲している。ブレードは握りの内側が刃になっていて、ハンドル部分の終端に丸い穴があいている。
刃が湾曲しているせいで突きには向いていない。掻き切るといった使い方をする。某掲示板の所有者のコメントには、商品写真で見るより大きいので携帯にはあまり向かない、と書いてあった。なかなか格好はいいが、扱いを習熟するのは難しそうだし、何より携帯性に難があるのがキビシイ。
丸い穴に小指を入れて握りを持つことでナイフの落下を防いでくれるのだろう。右利きの人がカランビットをもったポーズを考える。右腕を目の前でボクサースタイルに構える。すると刃の切っ先は右こぶしの上から突き出し、相手の方向を向く。右へ斬りつけるカンジだ。逆に、刃を反して右から左へ斬るのは人間工学的に難しいが、できないことはない。
もしくは丸い穴に人差し指を入れたポーズを考える。小指を入れた時とは刃の方向が逆だ。このスタイルは通常のナイフの逆手(どっちが正で逆かは分からないが)にあたる。右こぶしの下から正面に向かって刃が突き出しているカンジになるので、攻撃パターンとしては、刃で相手の体表面を斬りつけるようにパンチを放つ。想像してみると分かるが、実際のリーチはかなり短い。それはボクサーの間合いだ。素人に超接近戦は無理だ。
カランビットで一点気づいたことがある。それは、穴に人差し指を通した時、順手と逆手に構えることが出来る、ということだ。すなわち、右こぶしの上からも下からも刃を出せるのである。小指でも同じことで、とすると 4パターンの構え方があることになる。あくまで想像上のものでしかないので、実用的な構えかどうかは分からない。
次に調べたのがプッシュ・ダガーだった。T字のナイフで、握って刺すのである。リーチはカランビットよりは長い。通常の間合いより、握りこぶし一つ分といったところか。しかし相手が刃物を持っていたら受けられないではないか。指が切り落とされてしまう。
トレンチ・ナイフ。トレンチは塹壕の意味らしい。某ページで見つけたのは折りたたみ式のナックル・ナイフだった。握りの部分がナックルになっているナイフで、殴る・突く・切るができる。突きが選択範囲にあると攻撃の幅が広がる。これはいい、と思って通販のページを漁ったのだが、ほとんど絶版、あったとしてもナックル部分がないやつだったり、折りたたみじゃないやつだったりしてイマイチ心の琴線が音階を奏でない。
これは折りたたみ式のプッシュ・ダガー&ナイフと言うべき代物で、見た目は小さ目の折りたたみ式ナイフ、刃を半分起こした状態でロックすればプッシュ・ダガー、全て開けばナイフとして使える代物だった。値段は 1万円前後。お手ごろではないか。刃渡り 4.2cm。これならば相手に致命傷を与えることはあるまい。銃刀法にも違反しないようだし。職務質問を受けた相手が悪ければ、任意同行されてしまうが。
銃刀法に関しては、第 2条に「刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物の携帯の禁止」というのがある。
一方で、第 22条に「何人も業務その他正当な理由による場合を除いては刃体の長さが 6センチを超える刃物を携帯してはならない。」という条項があり、これが曲者になっている。6cm 以下の刃物を、不当に所持していたという理由で、連行されたケースもある。相手が悪かったと思う他ない。
これは買うしかない、と思って通販の安いページを探していたら、ロードウォーリアーというナイフを発見した。一目ぼれだった。
握りの前の方に丸い穴が空いていて、ここに人差し指を通して使う。滑り止めと、落下防止である。
握りの部分が黒いタイプもあるとのことで、さっそく在庫確認をしたら、売れてしまったとのこと。しかしロードウォーリアはすでに絶版、次に入手できる機会があるかどうかは分からない。もはや警棒やスタンガンのことは頭にない。色など二の次、即注文した。
即日発送してくれるとのこと。到着は 2日後。待ち遠しい。何とも心躍る時間ではないか。こんな気分になったのは、ZAURUS を手に入れて以来ではなかろうか。いや、ZAURUS は店頭で直接かったから、待つ楽しみはずいぶん前にソファを注文したとき以来・・・いや、ソファの時にはなかった興奮がある。
ふと気づいた。どのくらいの大きさなのだろう? 全長 38cm もあった。これは持ち歩けないかな・・・? 持ち歩けたとしても銃刀法に違反することは間違いあるまい。しかも突きたてた瞬間、相手は地獄への片道チケットを持って旅行に出かけることになる。こんなもの持ち歩けるか! 当初一番重要視していた携帯性はどこへ行った?
一旦欲しいと思ったら、何かにぶつかるまで突っ走ってしまう性格は、自分でも困ったものだと思っているが、人格形成が完了して十数年も経っていることだし、もう手遅れだろうな・・・
結局高価なオブジェが一つ増えただけだった。シチズンナイフに取り替えてもらおうにも、すでに発送してるだろうし・・・高い授業料で教訓を学んだと考えるしかないか。
こうなったら次は、マイオトロンか警棒が欲しいところだ。