First Creation: 2004/07/14
Last Update: 2005/09/14
痛風に苦しむバイト仲間へ捧げるコラム
バイト仲間が痛風にかかった。K氏である。まだ二十代だというのに気の毒なことだ。医者からビールを禁止されたようで、飲み会に行ってもアルコールをまったく飲まない。
痛風のことをよく知らなかった私は、どのくらい痛いのかと聞いたところ「治らない骨折のようだ」だそうだ。あまりの痛みに歩けない時期もあったらしい。
大げさと思うだろうか? 調べてみると、「痛みの中で最大」と書かれてあるではないか。
K氏の意思がそれほど強固なものではないはずだから、やはりそうとうな痛みを感じたのだろう。
そんなに痛いのか。私はもともと痛みには弱い方だ。健康診断の時の注射ですら敬遠するほどだ。というわけで、私が痛風の被害を受けないように、予防がてら調べてみることにした。(この際 K氏のことは頭にない)
調べると、関節に毒素がたまって痛みを発する病気、とあった。痛みの原因である毒素は、体内の尿素が結晶化したものだ。尿素が結晶化するととげとげの状態になる。これが関節にたまって悪さをするわけだ。
もう少し詳しく書くと、次のようなプロセスを経て痛みを起こす。
体内で 1日に作られる尿酸の量は 700mg 程だが、一方では排泄されているので、人体への蓄積量は 1200mg 程である。しかし、次に挙げられる理由によって、尿酸値が高くなる場合がある。
血液中の尿酸値が、血液 1dl(デシリットル)中に対して 7mg 以上になると高尿酸血症と呼ばれる状態になる。痛風予備軍である。ただし、高尿酸血症になったからといって、ただちに痛風になるわけではない。症状が出るまでに 5年 〜 10年はかかる。
尿酸は非常に水に溶けにくい性質があり、本来は体内ではすべて溶けていて、結晶としては存在しないはずだが、高尿酸血症が続くと、体内のいろいろな部分に尿酸がたまって結晶化しやすくなる。例えば、関節や、骨と骨のすき間といった部位にである。
尿酸が結晶化すると、とげとげの針状結晶となる。
関節や、骨と骨のすき間といった部位から結晶化した尿酸が遊離すると、白血球が異物と見なして攻撃する。ところが、尿酸結晶が持つとげとげによって逆に白血球自身が破壊されてしまう。
白血球が破壊されると、ヒスタミンやセロトニンなどの化学物質が遊離される。もっと正確にいうなら、白血球の中でも 1% 程度しかない好塩基性白血球が破壊されたときに、ヒスタミンなどが遊離されるのだ。ヒスタミンは、毛細血管の透過性を亢進させて炎症反応を起こす。
これが痛風のメカニズムだ。
また、幸塩基性白血球が破壊された時に生じる化学物質の作用で、毛細血管拡張や血液凝固が生じ、全身的な循環不全を招くことがある。痛風が進行するとさまざまな症状が引き起こされるので注意が必要だ。
尿酸値が高くなると痛風になる理由は分かった。痛風になると痛みが発生する理由も分かった。
では、どのようにして尿酸値が高くなるのか。次は痛風とプリンの関係について調べてみよう。