First Creation : 2005/03/02
Last Update: 2005/07/03
黒を基調とした店内に落ち着いた曲が流れている。先ほど注文したホワイトレディは、カクテルグラスの縁を超えて表面張力で満たされ、私の口づけを待っていた。どのように運んだとしても、私の手を濡らさずにはいられない危うい均衡。だからといって私の方から口づけを迫るのは美学に反する。慎重に、こぼれないように、カクテルを引き寄せる。そのカクテルは明らかに私を挑発していた。脱がせ方の分からないコルセットに手間取る私を、挑発的な目で見ている女のように。やがて訪れた静かなフィナーレは、かすかにオレンジの味がした。
店内はカウンター席のみ、席数は 12〜15席ほど。黒大理石風のカウンターと穏やかなミュージック、やや明るめの店内が高級感を演出している。ドリンクは豊富だが、フード類がないから、軽く食事を済ませてから行くのが良いだろう。騒ぐような店では決してない。あくまで酒をたしなむための店だ。値段はレトロバックと同じくらい。つまりやや高い。レトロバックは一人で行くのがツライが、ふれいやは本格的なバーといった趣なので、一人で静かに飲むのに向いている。